【銀歯のやり直し】銀の詰め物(銀歯)を白くしたい


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こんにちは、現役歯科医師兼臨床歯科ライターの管理人です。今回は日常の臨床でも非常によくあるシチュエーションについて記事を書こうと思います。

この写真は右上の奥歯の写真です。→側から、4番目、5番目、6番目、7番目の歯が写っていて、5番目と6番目の歯に金属が入っているのが分かりますね?一般的には”銀歯”と呼ばれるものですね。

この金属、現代日本人の場合30~40代以上だとまずお口の中にひとつやふたつは入っているのではないでしょうか?正体は「金銀パラジウム合金」とよばれる歯科治療専用の特殊な合金で、50パーセント以上が銀でできています。

日本の歯科治療は「健康保険」の対象となるため、国の保険制度で認められた材料がこの「金銀パラジウム合金」というわけです。歯に虫歯ができてしまった場合、悪くなってしまった部分を削りこのような金属で修復する治療が、昔からずっと行われてきました。近年は、金属アレルギーの問題や、金属の無い綺麗な笑顔を志向する方が増えてきた影響で、この銀歯を外し、白くしたいという方が増えています。

白くする=セラミック一択か?

では、銀歯を外した後は代わりにどのような素材で再修復することになるのでしょうか?選択肢はいくつかあります。

①セラミック

②ハイブリッドセラミック

③コンポジットレジン系の硬質レジンによる修復

他にも製作の方法の違いなどで細分化できますが、話を単純にするため、おおきく上の3つに分けました。

さて、せっかく再治療を行って歯を白くするなら、できればしっかりと質のよいものにしたいというのが本音だと思います。どのような材料で歯を白くするか、決める際に大切なのは

・適合性

・素材そのものの強度と普遍性

です。

適合性とは、修復物が歯とどれだけピッタリか、ということで例えばこれがいい加減だと、歯と修復物の間に隙間が空いてしまい、そこから汚れが入り込んで境界線が茶色く着色したり、2次的な虫歯になってしまったりします。しかもこれは非常にシビアな話で、見た目がなんとなくピッタリとかではダメです。ミクロのレベルでしっかりと適合していなければ、最初は綺麗でもすぐに汚れてしまいます。なぜなら相手は色素や細菌といったミクロの相手だからです!

素材の強度と普遍性とは、その修復物がかみ合わせの力や口の中という過酷な環境にさらされて、どれくらい耐えられるのか、というものになります。これに関しては前から何番目の歯なのか、というのも大きく影響しますが、一概に奥歯は強い力がかかるという前提のもと、かみ合わせの力で簡単に壊れたりしないか、唾液や毎日の食事の影響ですぐに変質してしまわないかといった項目が大事になってきます。

さて、ではこれらのことを踏まえ先の材料をみてみましょう。

まず、③のコンポジットレジン系の硬質レジン

ですが、これは簡単に言えばプラスチックです。近年は材料の進展に伴いプラスチックといえどかなり良い材質のものが取り扱われるようになりましたが、やはり「所詮プラスチック」といった感はぬぐえません。例えばキッチンで使うタッパーのようなものを想像してみてください。色は白です。最初は綺麗ですが、食材の保存などに数回使うとどことなく着色してきて、なんとなく臭いも残ってしまいませんか?また、ブラシなどでゴシゴシ洗うと細かい傷がついて、そこからさらに着色してしまう! 歯科材料のレジンと呼ばれる樹脂も言ってしまえば同じようなものです。中にはフィラーと呼ばれるセラミックの粒子のようなものを混ぜているため、光沢性もあり、研磨してやると綺麗になりますが、長く口の中で使われるとやはり素材そのものが吸湿し、色が変わってしまうのです。また、プラスチックであるため、強度もそこまで高くありません。勿論部位によっては強度的に問題ない場合もありますが、奥歯のかみ合わせの面などでは、しばらく使った後に割れてしまったり欠けてしまうことが多いです。保険が適用されるため、費用的には抑えられますが、その場しのぎな処置になってしまうかもしれません。

破損したレジン修復物

②のハイブリッドセラミックはどうでしょうか?

なんだか名前はかっこいいのですが、「ハイブリッド」というのは混同の というような意味で、これはプラスチックとセラミックが”ハイブリッド”されているという意味です。従って、コンポジットレジンの中のセラミックの分量が多くなっただけと考えてあまり差し支えなく、基本的な性質はレジン系の修復物と同じです。しかもハイブリッドセラミックとよばれる類の材料は保険が適用されないため、費用も少し高額になり、写真にあるような詰め物タイプであれば1本あたり3万円~5万円くらいが相場といったところでしょう。高い上にあまり長持ちしない、非常に中途半端でおすすめできない材料といえます。

そして最後に①セラミックです。結論から言うと、結局銀歯を白くする場合はセラミックが一番おすすめと言えます。先ほどのレジンをプラスチックのタッパーに例えたならば、セラミックは陶器のお皿だと思ってみるとよいでしょう。あまりにもお手入れが悪くなければ、お皿はささっと流すだけで汚れは落ちますし、着色したり、臭いが残ることもありません。また傷にも強く、普遍的な材質といえます。また銀歯の金属やプラスチックのように材料が唾液に溶けて劣化することもなく、生体に対する親和性も非常に高い材質なのです。自由診療となるため、セラミックインレーなどの相場は5~7万円と決して安くありませんが、それに見合った材質だといえます。

じゃあセラミックならなんでもいいの?

素材はセラミックが良いというのは分かりました。では、セラミックを使えばなんでもいいのでしょうか?正直、世の中にはセラミック治療というものが溢れています。どこのホームページを見てもセラミックをおすすめしていて、高額な治療費が欲しいだけなのでは?と思えてしまうのではないでしょうか?

ここで大事なのが、先ほど出てきた「適合性」という概念です。材質が良いかどうかは、使ってる材料に依存することなので、施術を担当する歯科医師の力量や技量とは関係ないといっても過言ではありません。最終的な修復物を製作するのは技工士なので、ちゃんとした技工所であればこれに関しては問題ないということです。しかし、実際に歯を削って、形を整え、型をとるのは歯科医師が手で行う作業です。はっきり言って、この過程はその歯科医師により大きな差が出るといえます。勿論、ある程度教科書的にどのように削るかなどといったルールはありますが、結局は人が手で行う作業です。熟達度やどこまで丁寧に作業を行うかは、その歯科医院や歯科医師にゆだねれれており、しかも、細かい部分に関しては患者さんには全然知る由もないわけです。

どんなに良い材料(=セラミック)を使っていたとしても、作業が適当であれば「適合性」が悪い修復物が出来上がり、結局は破損や着色、2次的な虫歯などの原因になってしまうわけです。セラミックという材質の特性を最大限引き出すためにも丁寧で妥協の無い作業が必須というわけです。

ちょっと例をみてみましょう。

金属の詰め物がはいっています

金属を取り除いたところ。

上の2枚の写真は、右上の奥歯に入っている金属の詰め物と、それを取り除いた写真です。この、2枚目の写真で歯の中に白や灰色のセメントのようなものが詰まっているのが分かりますか?これは以前の治療の際に虫歯を取り除いた穴を埋めている古いセメントです。

さて、しっかりと丁寧に処置をするのであれば、このような古い材料や古いセメントの類は一度全て取り除きます。なぜならば、このようなセメントの下にさらに虫歯が広がっていることが多いからです。ただし、このようなセメントを取り除き、下の虫歯をチェックして、さらに新たに材料で修復する という作業は非常に大変で手間がかかります。なので、なかにはこのような古い材料はそのままの状態で型だけ取ってセラミックをつくってしまうような歯科医院も沢山あるのが現実です!しかも、患者さんには見かけ上セラミックが入ってしまえば、中の処置をどこまで丁寧にやったかなど、分からないのです。

古いセメントを全て取り除き、下に広がる虫歯も取り除いた状態。つまり、これが「健全な歯質だけが残っている」状態。

新しい材料で、虫食い状になってしまった形態を修復した状態。

セラミックがセットされた状態。

上の写真3枚のように、古い材料や虫歯を完全に取り除き、それを新しい材料で補完し、シリコン製の材料で型をとり、最終的な修復物が完成する。

歯科治療というのは、こういったひとつひとつのステップの積み重ねで治療の結果が出るものです。例えば同じ金額のアクセサリーがあったとします。アクセサリーは~万円という金額でそのものを買うわけですが、歯科治療はその~万円にこれら全てのステップが含まれていると考えてください。どのステップも、手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けてしまうのが現実です。しかも、最終的なセラミックだけ綺麗にできてくれば、内側の処置をどこまで丁寧に行っているのかなど患者さんには分からないのです。

まとめ

いかがでしょうか?

銀歯を白くしたい というシチュエーションに絞って、歯科治療の実際を見てきましたが、

①材質はセラミック

②精度の高い治療

が大切ということが分かりました。

特に②は患者さんが判断するのは難しいと思いますが、

 ・しっかりと診療時間を確保してくれる

 ・診療に拡大鏡を使っている

 ・写真を撮って状況を見せてくれる

 ・適切な材料を使っている

など信頼できるかどうかを判断できるポイントはいくつかあります。

銀歯の治療ひとつとっても妥協なく丁寧に治療を行う歯科医師もいれば、売り上げと診療時間のバランスしか考えていないような歯科医院もあるのが現実です。

歯は一生つきあっていくもの。信頼できる歯科医師をみつけ、自分がどんな治療を受けているのか理解して治療を進めていきましょう!

 

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