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みなさん、もしも自分が矯正治療をするとなったら、それは何のためでしょうか?
矯正治療は、ケースによれどお金と時間がかかることです。
それだけのお金や時間といった労力をかけてまでやるからには、それなりに明確な目的意識が必要です。
歯のガタガタをきれいにしたい
→人前で自信をもって笑いたい
といった理由や、
ガミースマイルを治したい
奥歯の咬み合わせをよくしたい
更には
肩こりを治したい
顎のゆがみを治したい
など、矯正の相談にいらっしゃる理由は多岐にわたります。
そんな中でも、最近の若い女性に非常に多い相談内容が
口元を下げたい、引っ込めたい
という内容の相談です。
多くの女性は、雑誌やテレビなどで美しい口元にあこがれ、矯正治療をすればそのような美しい口元を得られるのではないかと相談にいらっしゃるわけです。
今回は、「結局矯正治療をすることで口元に変化はあるのか?」に関して書いてみましょう。
目次
矯正治療で口元はさがるのか?
先に結論からいますが、
矯正治療で口元はさがるのかというと、
下がります
矯正治療のBefore/After では実際に口元が引っ込んで、横顔が改善するようなケースはあります。
ただし、
「お、矯正すれば横顔が変わるのか! やってみよ!」
と飛びつくのは危険です。
なぜそれがよくないのか、以下を読んでよく考えてから矯正治療をはじめましょう。
矯正治療は美容整形ではない
まず、大前提として
「矯正治療は美容整形ではない」
ということをいっておかなければなりません。
これはどういうことか。
特にマウスピース矯正が普及したことにより矯正治療のハードルが下がり、矯正治療に関する色々な情報が世の中にあふれています。一部のメディアでは、美容整形などの分野と横並びにして 美容 を追及する手段のひとつとして取り扱われたりしています。そのため、矯正治療をすればそれに伴って輪郭や顔つきなどまで改善するのではないかと誤解をしてしまう方もいるのではないでしょうか?
確かに、矯正治療をすることで顔に変化が期待できる場合はありますが、大原則として矯正治療で扱えるのは「あくまで歯並びだけ」です。
美容整形のように直接骨格に関与する顎の骨や頬骨などにアプローチするわけではないので、今あるご自身の骨格の中で歯を動かしていく、これが歯列矯正で行うことのできる原則であり限界ということです。
期待のし過ぎはNG
ということで、先ほどの
何のために矯正治療を受ける?
という点においては、過度に顔つきを変えたいとか、横顔を変えたいといった期待は禁物だということを理解していただくのはとっても大事です。もしもそれを第1の目的として矯正治療に時間やお金を費やしたとしたら、いざ矯正治療が終わっても
思っていたような変化が得られなかった・・・
となりかねないからです!
治療をする側としてはしっかり歯並びもきれいになったし、治療してよかったですね!といいたいところなのに、治療された側からしたら、いやーこんなはずじゃなかった、、、なんて状況は、お互いにかなり何ともいえません。
治療を始める前に、「何を目的として治療をするのか」を軸に、矯正治療でできることとできないことをよく理解してから治療をはじめましょう。
口元が下がる・引っ込むケース
さんざん予防線を張りましたが、実際に矯正治療で口元が下がるケースがあるのは事実です。
実際にそのような写真を見てみましょう。
いかがでしょう?口元がかなりすっきりして、横顔にまで影響がでています。
実際のお口の中の写真はというと、
このように抜歯をして、前歯をかなり後ろに下げているのがわかりますでしょうか?
他の例もみてみましょう。
鼻の下からアゴ先へのラインがきれいになっています。
こちらの方の口腔内写真は
やはり抜歯をして前歯の位置や角度が大幅に変わっていますね。
また、
このように、唇が閉じずらい&出っ歯により、アゴ先(オトガイといいます)が不明瞭で、アゴにシワがよってしまっているような場合も、矯正治療により唇が閉じやすくなりアゴのシワも消え、アゴ先(オトガイ)が明瞭になることできれいな横顔になってますね。この方の口腔内写真は
やはり抜歯をして、大きく前歯の位置を変化させていますね。
いかがでしょうか?
「矯正はあくまで歯並びだけだ!」といいましたが、ケースによってはこのように横顔の印象まで変えることができる矯正治療。場合によっては人生だって変わるかも??
とはいえ、このようなケースにはある共通点があります。それは
【抜歯矯正であること】
です。
抜歯矯正とは、矯正をするためだけに、便宜的に歯の数を減らし、できたスペースを利用して歯を並べる矯正治療のことです。
(この動画はやや極端ですが)
抜歯をしてスペースをつくる
→そのスペースに前歯が下がる
→それに伴い口元が下がる
という流れがあるわけですね。
では、抜歯すれば必ず口元はさがるのでしょうか?
口元が下がらない・引っ込まないケース
口元に影響を与えるほど大きな変化を望む場合は、そもそも抜歯矯正であることが前提でした。
抜歯をしなくても、歯のサイズダウンをしてあげたりすることで出っ歯を改善することはできますが、このようなケースでの前歯の変化というのはわずかで、少なくとも横顔に影響するような変化は見込めません。
では、抜歯矯正をすれば必ず口元がひっこむのでしょうか?
別の写真をみてみましょう。
よくよく見ればなんとなくの印象に変化はありますが、先ほどのケースほど大きな変化があるかといえば、ないですよね?
この方の口腔内写真を見てみましょう。
ここで注目したいのは「矯正治療前に著しいガタつきがある」という点です。別の角度からみてみると、
このように抜歯をしたスペースが、ガタつきが改善することでほとんど消費されていることがわかります。つまり、いくら抜歯をしてスペースを獲得したとしても、それが前歯を下げることに寄与しなければ、やはり口元にあまり変化はないということです。
この動画でも、抜歯をして歯並びはきれいになっていますが、口元にはなにも変化がありません。シビアな八重歯や、著しいガタつきがあるケースでは、実際このような現象がおきます。
口元への影響因子は前歯だけじゃない
さて、ここまでの内容で矯正治療で口元を下げるためには
- 抜歯矯正であること
- 抜歯してできたスペースに前歯が下がっていくこと
の2点が必要である ということがお分かりいただけたと思います。
では、この2点を満たせばいいのかというと、やはりそうではありません。
この before/after はどうでしょう。アゴ先の印象はそれなりに改善していますが、口元が大幅に変わったかといえばそうでもないです。
口腔内写真は
・抜歯矯正である
・そこまで著しいガタつきはなく、前歯の位置が大幅に下がっている
という条件をクリアしているにも関わらず、なぜでしょう?
これには口元を構成する「軟組織」の事を理解する必要があります。
確かに、前歯は唇を裏側から支えることによって、唇に張りを与えたり、逆に口元が出てしまったりといった原因になります(これをリップサポートといいます)。入れ歯をしているお爺ちゃんお婆ちゃんが入れ歯を外すと口元が梅干しみたいになるのはこのためですね。
しかし、口元に影響を与えているのは歯だけではありません。
・表情筋をはじめとする筋肉組織
・皮下脂肪などの脂肪組織
・皮膚を構成する結合組織
といった「軟組織」とよばれるものが多分に影響を与えているのです。
唇が薄い人もいれば、唇がぷっくりとしていて厚いひともいます。このように軟組織に大きな違いがある人が、同じように矯正して、同じように変化するかといったら、それは違うのが当たり前ですよね?
一般的には、唇の薄い人ほど前歯の変化の影響が出やすく、唇が厚い人ほどその逆となります。
まとめ
「口元を引っ込めたい」
「横顔をすっきりさせたい」
という相談は後を絶ちませんし、そのために能動的に矯正治療を考えようという姿勢は素晴らしいと思います。しかし、矯正治療はあくまで歯並びの治療。
- 抜歯矯正の適応である
- 抜歯により前歯を大きく下げることが期待できる
- 口元を構成する軟組織が前歯の変化の影響を受けやすい
このような条件をクリアして、ようやく口元への変化が期待できるわけなので、「口元を下げるために」とか「横顔を変えるために」といった目的意識を第1にしてしまうのは注意が必要です。
歯並びがよくなる あるいは 出っ歯が改善する のがメインであり、そのついでに、口元がよくなったらラッキーですね、くらいのスタンスがちょうどよいかと思います。
口元を気にされていて矯正治療を考えている方は、是非参考にしてください😊