【インビザライン】【 Invisalign】 話題のマウスピース型矯正装置とは

こんにちは、現役歯科医師兼臨床歯科ライターの管理人です。

成人歯列矯正には様々な装置があることを以前の記事で紹介しましたが、その中でも話題のマウスピース型矯正装置について少し詳しく解説しようと思います。マウスピース型矯正装置にもいくつかのメーカーがあり、それぞれに異なった特徴がありますが、今回は最もシェアが広く、症例実績の多い AlignTechnology社の invisalign に焦点を絞ります。

矯正治療の装置の種類 どんな装置があるの?

↑矯正装置の種類はこちらの記事を参考にしてください!

従来のワイヤー矯正に比して簡便さやハードルの低さだけが取りざたされやすいマウスピース型矯正、、、ですが、メリットがあればそれに伴うリスクや注意点も多々あります。

「ワイヤーをつけなくても矯正できるんだ!」と飛びついてしまう気持ちも分かりますが、矯正治療は一生にかかわるもの。まずは特徴をよく把握し、適切な理解の上で治療をうけることをおすすめします!

マウスピース型矯正装置とは?

そもそも、マウスピース型矯正装置とはどのようなものでしょうか?

従来の矯正といえば、歯の表面にブラケットとよばれる小さい装置を装着し、これらにワイヤーを通して力をかけることで歯の位置をコントロールするものでした。

これに対し、マウスピース型矯正装置は、「少しだけ形の異なるマウスピースをはめて、それを交換していくことで、歯をその形に少しずつ動かしていく」というシステムで歯を動かしていきます。

開始前
7枚目
14枚目
21枚目
終了

このように、マウスピースを交換することで少しずつ歯を動かしていきます。具体的には、1枚のマウスピースにつき約0.25mm程度の移動量を目安に移動させます。

症例により枚数は様々で、簡単な症例であれば数枚、難症例や移動量の多いケースでは60~80枚ほどになることもあります。

「なんだ、マウスピースをただはめてれば歯並びが治るのか!」と思ってしまうかもしれませんが、それは安易な考えです!マウスピース矯正【→ここからはインビザライン】にはそれを支えるシステムから、実際の臨床に至るまで、多くの留意点があります。これらを理解せずに安直に始めてしまうと、思わぬトラブルや最悪の場合矯正失敗といった結果にもなり得ます。そうならないためにも、インビザラインの特徴やある程度のシステムをしっかり把握しましょう。

インビザラインの特徴 ワイヤーと比較して・・・

とはいえ、やはり従来のワイヤー矯正に比べインビザラインのメリットは大きいです。それらをひとつひとつみていきましょう。

インビザライン ワイヤー矯正
見た目 非常に審美的 表の装置は目立つ
毎回の診療時間 20分程度 60分前後
調整の頻度 2~3か月に1度 毎月
歯ブラシのしやすさ 非常にしやすい 非常にしづらい
虫歯や歯周病のリスク ほぼなし 高リスク
応急対応 ほぼなし よくある
しゃべりやすさへの影響 若干あるが、慣れる 違和感が強いが、慣れる
コンプライアンス 重要 あまり関係ない

 

  • 見た目・・・当然、マウスピースは透明な材質でできているため、表のワイヤー装置に比べれば圧倒的に審美的です。ただし、あとでも出てくる”アタッチメント”という突起を歯の表面に設置するため、「全くなにも見えない」わけではありません。そういった意味では、完全裏側矯正(フルリンガル)には見かけ上の審美性では劣ります。
  • 毎回の診療時間・・・ワイヤー矯正の場合、その時の診療内容にもよりますが、例えば装置をいくつか貼り替えて、ワイヤーを上下で交換して、などとやっているとなんだかんだ40分~60分と時間がかかってしまうこともあります。インビザラインの場合、アタッチメントの設定(後述)などが終わり治療の波に乗れば、マウスピースのフィットのチェックやアタッチメントの脱落がないかの確認、シミュレーションとの比較、使用時間の確認などが主な診療内容になってきます。なので時間としては20分程度で診療を終えられることが多く、その点も大きな魅力です。
  • 調整の頻度・・・ワイヤー矯正の場合、基本的には毎月の通院が必須となりますが、インビザラインの場合治療の波に乗ってしまえば2~3か月に1度の来院でOKです。場合によっては留学や出張などの都合でもっと長期間来院できないこともありますが、マウスピースを全てお渡しすることができるので、実質来院なしで矯正治療を終了することすら可能です。ただし、フィットの確認やシミュレーションとの比較などは定期的に行うのが基本です。毎回の診療時間が少ないのに加え、来院の頻度が少なくて済むのも患者さんとしては負担軽減となるのではないでしょうか。
  • 歯ブラシのしやすさ・・・ワイヤー矯正は、歯の表面に装置やワイヤーなど色々なものが装着されますので、しっかりと歯ブラシをするのは非常に難しくなってしまいます。タフトブラシや歯間ブラシなど、普通の歯ブラシ以外にも道具を用意してもらい、しっかり磨かなければなりません。インビザラインは取り外しが可能ですがから、歯ブラシの際はマウスピースを外せば普段と変わらず歯ブラシをすることができます
  • 虫歯や歯周病のリスク・・・歯ブラシが普通にできるので、普段のケアをしっかりとすればインビザラインが虫歯や歯周病のリスクになることはほぼありません
  • 応急対応・・・ワイヤー矯正では、どんなにしっかりと処置をしても、ワイヤーが延びだして口の中に刺さってしまったり、食事中に歯の表面に装着している装置がはずれてしまったり、といったトラブルは生じます。これに対し、インビザラインはそのようなトラブルがほとんどないため、応急で来院する必要なども圧倒的に少ないといえます。
  • しゃべりやすさへの影響・・・これは、ワイヤーもインビザラインもどっこいどっこいといったところでしょうか。ただし、裏側矯正の場合、特にフルリンガルだと舌のすぐ脇に装置が並ぶことになるので、違和感は非常に強いです。表の装置であれば、舌の邪魔はしないので、そこまで発音に影響はないことが多いです。インビザラインは、歯を全体的に覆うため、舌の違和感などが多少あります。特に「ラ行・サ行・タ行など舌が上の歯の裏側に接触して発音する言葉」が発音しづらくなったりしますが、影響は大きくないですし、必ず慣れます。
  • コンプライアンス・・・コンプライアンスとは、つまり「患者さんがしっかりと使用などに関するルールを順守できるか」という意味です。例えば、従来のワイヤー矯正では、来院は必要ですが矯正歯科医がワイヤーの調整などを行えば、患者さん自身に何かをがんばってもらったり、守ってもらうようなことはありません。しかし、インビザラインは取り外し可能です。そして外している間は何も効果がありません。つまり患者さんがしっかりとモチベーションをもって管理し、必要な時間装着をしなければ、歯は全くうごかないということです

どうでしょうか、やはりメリットの大きいインビザラインですが、「コンプライアンス」というものが非常に重要であることがわかりました。特に装着時間が大切ですが、具体的には 20時間以上/1日 の装着 が必要になります!これに関してはご自身のライフスタイルや性格といったものが適性判断に関わってきます。

例えば、インビザラインは食事の際は取り外す必要があります。職業柄食事の機会がとても多く、その度に外すというのが難しいこともあるかもしれません。また、治療を続けるためにはご自身のモチベーションが不可欠です。簡単に始められるから、といって始めたものの、数か月と時間が経つうちに最初のやる気がなくなり、だんだんと装着時間が減っていくということもあります。

いかなる理由があっても、「装着時間を守り、ご自身でマウスピースの管理をすることができる」という大前提の上で成り立つ矯正装置なのだということをよくよく理解していただく必要があるということですね!

インビザラインの見た目は本当のところどんな感じ?

さて、インビザラインには「患者さん自身のモチベーションや管理能力」が必要ということがわかりました。ここからはそれをクリアしたとして、実際にインビザライン治療をするとなった際の細かい部分をみていきましょう。

まず一番気になるところは、「見た目」「審美性」でしょう。ワイヤーとの比較でも見た通り、インビザラインは「誰にも気づかれずに矯正をしちゃおう」といった触れ込みで宣伝されること多いです。

確かに、従来の表側のワイヤー矯正に比べれば圧倒的に審美的で目立たないのは断言できます。ただし、注意しなければならないのは、「全く何も見えないわけじゃないよ!」ということです。

実際にインビザライン装着時の写真を見てみましょう。

いかがでしょうか?なにか歯の表面にボコボコしたものが見えるし、全体的にテカってるような感じに見えますよね?

これは歯の表面に「アタッチメント」という突起を接着させていて、マウスピース側にはこの突起がはまり込むような窪みが設定されているためこのような見え方になります。また、インビザラインのマウスピースそのものは smart track という特殊な材質でできており、それなりに厚みもあるため、光を反射してすこしテカったような印象に見えることもあります。

このように、インビザラインでも見た目にネガティブな特徴があるため、全く見た目に変化がない、ということを期待されている方は注意が必要です。

アタッチメントってなに?

見た目に影響を及ぼす「アタッチメント」。一体何のために歯にこのような”突起”をつけるのでしょうか?

 

インビザラインでは、マウスピースが歯といかにフィットよく装着されているか、が歯の動きを左右します。この”フィット”を助けているのがアタッチメントです。上の画像のように、マウスピースの内面に設定された”窪み”と、歯の表面のアタッチメントが互いに干渉することで、歯の動きに最適な力(“フォース”)を生み出すのです。

お口を開けた時に見える歯は、歯全体の1/3ほど。残りの2/3は歯ぐきやその下の骨の中に埋まっています。歯を動かすということは、このように骨の中に埋まっている部分も含めて動かさなければなりません。アタッチメントを設定することで歯に効果的な力をかけ、移動を可能にしているわけです。

アタッチメントは、極力目立たないように、虫歯を詰める時に使うのと同じような材料で装着します。歯と同じような色なのでそこまで目立つことはないのですが、ボコボコとなるので、少し違和感はあります。

アタッチメントがどの歯にどれくらい付くのか というのは、実際にシミュレーションを作成するまで分かりませんが、例えば前歯には付けたくない といった希望を反映させることは可能です。ただし、先ほども言った通り、付けた方が効果的な歯には付けた方がいいので、そこは審美性とのトレードオフとなります。矯正が終了したら、アタッチメントは全て除去します

インビザライン治療では歯を削る?

例えば上の写真を見てみると、下の前歯を中心にガタつきがあるのがわかります。このような”ガタつき”を改善しようとする時、方法としては以下の4つの手段があります。

1.抜歯をする

2.歯列を拡大する

3.歯をサイズダウンする(歯と歯の間を削る)

4.奥歯を後ろへ移動する

どれも方法は違えど全て「スペースをつくる」ために行っています。特に抜歯をせずに矯正治療をするような場合は 2.歯列拡大 と 3.歯のサイズダウン をバランスよく行い歯を並べていくことが多いです。

この歯のサイズダウンの事を IPR (interproximal reduction)や ディスキング といいますが、これは確かに歯を削ることになるわけです。

ただし、歯を削るといってもその量は 0.1mm~0.5mm 程度。これによって歯がもろくなったり、虫歯になりやすくなるということはまずあり得ない範囲内で歯を小さくしてあげて、ガタつきを解消するわけです。

インビザライン治療の流れ

インビザライン治療は患者さん主導型の矯正装置で、見た目にはアタッチメントというものが影響するということ、場合によっては歯に隙間を空ける必要があることが分かりました。では、いよいよ実際のインビザライン治療の流れをみてみましょう。

1.初診カウンセリング→矯正検査

矯正治療を考えてみようかな、、、と思ったらまずは相談に行きましょう。今は初診の相談は無料で行ってくれる歯科医院も多く、ご自身の歯並びがどのような状態なのか、インビザラインは適応できるのか、費用や期間はどれくらいか といった事を具体的に聞くのがよいでしょう。相談の結果、矯正治療を前向きに考えるということであれば、その次は検査です。

検査項目は歯科医院により様々ですが、顔写真や模型用の型どり、骨格分析のためのレントゲン撮影などを行うのが一般的です。

検査後は、検査資料をもとにどのような治療法・装置がよいかなどを改めて相談し、その後実際の治療がスタートしていく という流れが多いでしょう。

骨格分析用のレントゲン写真
口腔内写真の撮影

2.インビザライン用の型どり

矯正治療に進む前に必要な処置がある場合はそれを済ます必要があります。例えば、代表的な処置としては

・親知らずの抜歯

・虫歯治療

・歯周病治療

です。親知らずは矯正の治療計画上抜いたほうが良い場合とそうでない場合があります。

虫歯や歯周病は、基本的に矯正よりも優先したほうがよいですが、例えばすごく小さな虫歯で、矯正治療にもそれほど時間がかからない、といった場合は担当の歯科医師と相談して治療の順番を決めましょう。後述しますが、インビザライン治療中に歯の大きさが大きく変わってしまうとマウスピースがフィットしなくなってしまい、作り直しが必要になります。そのようなリスクも踏まえて、先に治療しておいた方が無難かもしれませんね。

歯周病は、矯正治療にとっては非常に大きな問題です。例えば、歯石がついていて歯ぐきが腫れてしまっている程度であれば、インビザラインの治療と併行してクリーニングなどを行えばよいのですが、シビアな歯周病が進行してしまっていたり、そのような部分が限局的に存在する場合は、まず歯周病の処置を優先したほうがよいでしょう。歯周病と矯正治療の関係は複雑なので、これに関してはまた別の記事で触れます。

矯正前の処置が不要、あるいは全て終わったら、いよいよインビザラインを製作するための型どりを行っていきます。

以前は上の画像のように、シリコン製の型どりの材料をつかって精度の高い型どりをおこなうのが一般的でした。かなりの精度が求められるため、きれいに型をとるのが非常に大変でした・・・・

iTero element

現在は iTero アイテロ という口腔内スキャナーで型どりをする医院が増えています。ちょうど電話機の子機くらいの大きさのスキャナーを使ってお口のなかの情報を3Dとして保存することができるスグレモノで、従来のシリコン型どりに比べると、かかる時間も患者さんや歯科医師の負担も圧倒的に軽減されました!

iTero による光学スキャニング

3.シミュレーションの作成 「クリンチェック」

インビザライン用の型どりが完了したら、次はシミュレーションの作成です。シミュレーションの作成自体は、アラインテクノロジー社のエンジニアが作成を行い、それを担当の歯科医師が修正する という形でブラッシュアップされていきます。シミュレーションがある程度完成したら、それを一度患者さんに確認してもらうために来院してもらうのが一般的でしょう。

インビザラインのシミュレーションは「クリンチェック」といい、このシミュレーションを元に全てのマウスピースが製作されます。まさにインビザラインの要といってよいでしょう。インビザライン治療における歯科医師の最大の役割は、このシミュレーションを矯正歯科学的に妥当で無理のないものにつくることです。シミュレーションがしっかりと作られていて、なおかつ患者さんがしっかりとマウスピースを管理すれば、かなりシミュレーションに近い形で歯は移動します。

※世の中には矯正歯科の正しい知識がなく、ただできあがってきたシミュレーション通りにマウスピースを発注して患者さんに渡している歯科医師がいるのも事実です。特に今までワイヤー矯正には手を出せなかった一般治療の歯科医師が、目の前の利益欲しさにマウスピースを安易に提供するケースが目立ちます。先述の通り、シミュレーションを作成しているのは歯科医師ではなく、アライン者のエンジニアです。必ず矯正治療に関する高度な目をもって修正しなければ、妥当性の高いシミュレーションには仕上がらないということに注意してください!

クリンチェックの確認により、マウスピースの枚数、アタッチメントの数、IPRの量・箇所、治療の方向性、ゴール設定など、ほぼ全ての見通しを先に見ることができます。シミュレーションを承認する前であれば、例えば「この歯にはアタッチメントをつけたくない」とか「もう少し前歯を下げたい」などといった修正を加えることができます。

最終的に、担当の歯科医師がシミュレーションを「承認」することで、ようやくマウスピースの製造がはじまります。マウスピースが医院に届いたら、患者さんにお渡しし、実際の治療がスタートするわけですね!

4.マウスピースのお渡し→治療スタート

インビザラインの大きな特徴ともいえますが、マウスピースは計画分全てが最初からできあがってきます。クリンチェック上でマウスピースが30ステージであれば、上下ペアで30組のマウスピースが1つ1つパウチに梱包され、箱に入って送られてくるわけです。これらを1ペアずつ交換しながら装着していくのですが、ここで肝心なのが、

「1枚あたりどれくらい使うものなの?」

ということかと思います。これは期間に直結する問題ですね!元々、インビザライン治療が日本国内でもメジャーになりつつあった時点では「だいたい2週間」といわれていました。これに関してはメーカーのアライン社も科学的な根拠はありませんと明言しており、マウスピース矯正を行う歯科医師の間でも明確なコンセンサスがありませんでした。はっきり言ってどれくらいの期間が適切かというのはその人によって異なります。なぜなら、咬み合わせも、骨格も、骨の固さも、食生活も、なにもかも百人百様だからです。1日あたりどれくらいしっかりと使用できているかも人により様々でしょう。ただし、インビザライン治療の成果が多く報告されるようになり、一般的な交換のタイミングは「10日前後」というのが現在落ち着いている共通認識で、ぼくの臨床的な感覚としてもそれで問題ないかと思われます。

治療が進んでいくと、歯がルーズになり動きやすくなっていくため、交換のタイミングを早めていくことができますが、それでも最低7日間は使った方がよいといわれています。

また、加速矯正という特殊な装置を併用した場合は3日~4日に交換のタイミングを早めることが可能ですが、これに関してはまた別の記事で・・・

5.アタッチメント付けやIPRをおこなう

インビザラインを歯科医院で受け取ったら、ようやく治療スタートです。治療といっても、これを主導するのは患者さん自身です。装着時間を守り、交換のタイミングを管理し、そしてモチベーションを保って矯正治療を進めるのです!

さて、ここまでではまだ歯にアタッチメントがついていませんね。アタッチメントはインビザライン治療の初期段階で設置します。最初から設定する場合もあれば、2枚目と3枚目の間で設定する場合など歯科医師により異なります。

アタッチメントには「レジン」という材料をつかいます

いずれにせよ、アタッチメントを設置する際は歯科医院に行く必要があり,「レジン」というプラスチックの一種をつかって歯の表面にアタッチメントを装着します。最近はアタッチメント専用の材料もメーカーが発売したりしていますが、基本的には虫歯を削った後に詰める時に使うものと同じです。

また、先ほど記載したIPRは治療の途中途中で設定されます。なので、定期的な来院の際に必要であればIPRを加えながら治療を進めていくわけです。

このようにしてインビザライン治療の波に乗っていくわけです。

治療の波に乗ったら、マウスピースの装着時間の確認、シミュレーションとの比較、アタッチメントの脱落がないかの確認などなど・・・をチェックするために2~3か月に1度は通院しましょう!

6.保定をする

全ての治療が終わったら、

「おーわり」といってそのまま放置してはいけません!

そのまま放置してしまうと、あれよあれよという間にガタつきが元に戻ってきます。これを矯正後の“後戻り”といいます。

保定とは、この後戻りを防止することです。ワイヤー矯正であれ、インビザラインであれ、いかなる方法でも矯正をしたら必ず後戻りの問題がつきまといます

この後戻りを防止するために、最終的な状態にあった装置を製作し、装着することで、きれいになった歯並びを維持しなくてはならないのです。

保定はどれくらいすればいいのか、どのような装置があるのかについてはまた別の記事で触れましょう!

チューウィーを咬もう!

インビザライン治療をするためには患者さんのモチベーションや管理が不可欠だというのは述べましたが、では装着時間や交換のタイミングだけ守っていればいいのでしょうか?

インビザライン治療で大事なのは~マウスピースと歯のフィット~ 

なのでいくら装着していても”ちゃんと しっかり”マウスピースがはまっていなければダメです。

そのために使うのがこれ、チューウィー Chewies

これはシリコンでできたロール状の棒のようなもので、これをどうするかというと、、

咬みます!

そう、チューウィーを咬むことで、ご自身の咬み合わせの力を使ってマウスピースを歯に密着させるわけです。マウスピースをはめる時は適当に指でグイグイするだけではなく、必ずチューウィーを咬んで、しっかりとマウスピースをフィットさせましょう。

ただし、チューウィーも治療のタイミングによってはどこを重点的に咬むとか、あまり奥歯は咬みすぎない方がよい などの注意点があります。これはその都度担当の歯科医師からの説明に従ってください。

追加アライナーとはなにか?

このようにしてインビザライン治療の流れに乗り、2~3か月に1度のチェックをはさみながら治療を進めていきます。クリンチェックのところで言及しましたが、マウスピースは最初に作成したシミュレーションを元に全て製作されています。では、このようにいってみれば先取りして作られたマウスピースが最初から最後までずっとフィット良くはまっているでしょうか??

結論としては、そういうこともあるし、そうでないこともある。そして、基本的にはそうでないことの方が多いです。

原因は様々です。仮に妥当性に問題がなく矯正歯科学的にも十分問題のないシミュレーションを作成していたとしても、やはり誤差の積み重なりや、患者さんの協力度に応じて歯の移動不良が生じるものです。これは失敗ではなく、インビザライン治療のシステム上仕方のないことだと思ってもらうのがよいでしょう。

では、歯の移動不良が生じたらどうしましょう?シミュレーションと実際のお口の中の状態に違いがでてくるわけなので、当然マウスピースのフィットが悪くなります。このフィットが悪くなった状態で無理にマウスピースを使い続けるのは逆効果になってしまうかもしれません。なので、このようにフィットが悪くなってしまった場合、新しいマウスピースを製作することとなります。これが「追加アライナー」です。

例えば、全部で30枚マウスピースがあったとして、25枚目でチェックのため来院。フィットが悪く、追加アライナーが必要と判断されたら、残りの5枚のマウスピースは破棄し、25枚目の状態で再度さきほどのスキャニングをおこないます。スキャニング→クリンチェックの作成→マウスピースの発注・発送 の流れは先ほどと同じです。こうして届いた新しいマウスピースをまた改めて装着し、治療の仕切り直しをするわけですね。

ここで気になるのが費用と期間のことです。

まず、費用に関しては「メーカー保証」があります。これは後述するインビザラインのコース設定により様々なのですが、そのコース設定に応じて一定期間マウスピースの再製作は無償でおこなえるわけです。ただしメーカー保証というのは「歯科医院がアライン社に支払う技工料がない」という意味です。従って、追加アライナーを行う際に患者さんに費用が発生するかどうかは歯科医院次第ですが、少なくともまた数十万円の費用が発生するということは保証期間内であれば絶対にありません。基本的には、アタッチメントを一度削除し、スキャニングし、改めてシミュレーションの作成・修正・発注するといった手間があるため数万円程度のチャージをする医院が多いかと思いますが、追加アライナーの分まで総額に含めている医院もあるでしょう。

期間はというと、例えば最初30枚のマウスピース→300日の予定が、25枚目で追加アライナーとなり、追加のマウスピースは15枚でできてきた、とすると250日からの が+150日に加え新しいマウスピースが届くまでの待ち時間などもあるので、けっこう期間が延びることになります。

結局、矯正治療というのは時間がかかるものです。これはワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも同じことですが、治療計画が複雑であったり、症例としての難易度がある程度ある場合、それなりに時間はかかるものだと思ってもらった方がよいと思います。

また、「途中でフィットが悪くなった」場合以外に、全てのマウスピースを使い終わったけど、「まだ改善したい点が残っている」場合も追加アライナーの対象となります。この場合も上の図と同じように、全て使い終わった状態でスキャニングを行い、新しいマウスピースの製作を行います。

「インビザライン治療中に歯の形が大きく変わるような歯科治療が行われた場合」も同じように追加アライナーが必要になるのはもうお分かりですね!

追加アライナーはインビザライン治療を支える非常に重要なシステムです。必ずこのことを理解して治療を受けましょう!

インビザラインの種類

ここまで話してきてから言うのもなんですが、実はインビザラインにはいくつかの「コース設定」があります。それは以下のようになっています。

・インビザライン フル(現:コンプリヘンシブパッケージ)

・インビザライン ライト(現:ライトパッケージ)

・インビザライン i7(現:エクスプレスパッケージ)

他にも、最近ラインナップに加わった小児矯正用のパッケージもありますが、今回は上記3つに絞りましょう。それぞれの特徴を表で比較すると以下のようになります。

フル ライト i7
枚数制限 無制限 14枚 7枚
適応 広範囲な治療に対応 軽度の改善 ほんのわずかな改善
追加アライナー 5年間何度でも 2年間2回まで 1年間1回まで

各コースは基本的に症例の難易度に応じて使いわけてるのが基本です。

たとえば、ある程度ガタつきがあり、数十枚のマウスピースが必要であればフルですし、ほんのわずかなガタつきの改善だけでよければライトやi7を選択することになるわけです。当然ながら費用もフル>ライト>i7ですから、ここは慎重にコースを設定しなければならないわけです。

明らかにフル、明らかにライトで大丈夫 というようなケースはいいのですが、困ってしまうのはグレーゾーン。フルでやっといたほうが安心だけど、ライトでもできなくはなさそう・・・ といったケース。このような場合は担当の歯科医師とよく相談して決めることになるかと思いますが、当然患者さんとしては費用が安いほうがいいですから、ライトにしたいところですが、上の表の通り追加アライナーの保証などでフルのメリットは大きいため、あやしい時はフルにしておきたいというのが歯科医師の本音です。

例えばライトで初めて、追加アライナーを2回やってもまだ満足できないとなった場合、基本的には費用がまた新たに必要になるということですから、完成度にこだわりそうな場合なども やはりフルのほうが安心ですね!

インビザラインて何でも治せるの?

さて、インビザライン治療は一体どこまでの歯並びを治すことができるのでしょうか?

これは矯正歯科医師の間でも結論がでていないので、この記事で明言することはできませんが、今のところの見解としては

「時間と労力さえかければかなりの症例を治療することができる」

のは間違いありません。

ただし、時間と労力には限りがあります。インビザラインはワイヤー矯正とは全く異なったメカニクスで歯に力がかかるため、メリットが多い反面苦手な部分もあります。例えば、

・極端に歯が短い場合、力がうまく伝達しない

・歯をねじるような力は苦手

・歯を大きく引っ張り出すのも苦手

といったのが代表的なところで、こういったものが複合している症例ではインビザライン単独での治療は注意が必要です。

このような場合は、1部分だけワイヤーの力を借りてインビザラインと併行しながら、あるいは先立って問題を改善するような工夫もできます。このような処置は、担当歯科医師の裁量によって行われるため、世の中には様々なトラブルシューティングが存在します。

また、場合によっては歯に小さな装置をつけ、マウスピースの装着とゴムがけを併行して行うことで問題の改善をはかるときもあります。

様々な工夫をし、時にはワイヤーの力も借りながら、マウスピースの良いところを使って治療を進めていくのが効果的かもしれませんね!

また、もっと大きなくくりでは

・抜歯症例

・骨格的なバックグラウンドを伴う難症例

などは注意が必要です。

注意が必要なのはワイヤーでも一緒ですが、今まで見てきたようにインビザラインには独特のシステムがあります。あまり無理な計画をやろうとしても、マウスピースのフィットが悪くなれば治療の続行は困難です。その時は、追加アライナーで修正をかけていくわけですが、基本的にこのようなケースでの修正には多くの枚数が必要になります。ただでさえ枚数が多いのに加え、生じたトラブルからのリカバリー、そしてリカバリーしてから再度元の計画を進めるのにも多くのマウスピースを必要とし、結果、”これはいつになったら終わるんだろう・・・”という泥沼状態に陥りかねないわけです。

[妥当性の高いシミュレーション+患者さんの協力度+時間]

によってかなりの症例を対象にできるインビザラインですが、ひとつひとつの歯レベルから、咬み合わせ全体レベルまで見渡し、本当にインビザラインで行うのがよいのか、よく相談する必要がありますね😊

インビザラインの補助システム

補助システムというと大げさですが、治療計画をスムーズに進行するため、インビザラインを補助する代表的なものを2つ挙げます。

①顎間ゴム

写真をみて分かる通り、上下の歯列にマウスピースがはまるのと同時に、輪ゴムのようなもので結ばれていますよね?

これが顎間ゴムと呼ばれるもので、ワイヤー矯正でも頻繁に用いる手段です。なぜこのようなことをするのかはまた別の機会でお話するとして、この顎間ゴム、小さな輪ゴムのようなものをお渡しし、患者さんご自身でかけてもらう必要があります。

「マウスピースをはめるだけでも大変なのに、これもやらなきゃならないの・・・」

と思われるかと思いますが、症例によってはそうなのです。ただし、マウスピースの装着時間が目標20時間以上だったのに対し、顎間ゴムはそこまで使う必要はありません。

基本的には使える範囲内で使ってくれ と説明することが多いですが、最低寝ている間、あとは出来る範囲内でつけてもらうことが多いです。また、治療のステージによっても顎間ゴムが重要な時とそうでない時があります。それはチェックの際に担当歯科医師が「今は顎間ゴムがとても大事だから装着時間を増やすように」などと指示をしてくれるでしょう。

②矯正用ミニスクリュー

マイクロインプラントやミニスクリュー、TAD(temporary anchorage device)など色々な呼び名がありますが、簡単にいうと矯正用の小さいネジです。

矯正というのはいかなる方法であっても「何かを固定源にして何かを動かす」という考え方の元成り立っています。特に、固定源を確保するのが難しい場合がありますが、このネジを埋め込むことで「絶対的な固定源」を得ることができるわけです。

この写真では、前から5番目と6番目の歯の間にネジが挿入されているのが分かるでしょうか?歯ぐきに埋め込まれているように見えますが、実際はその下の歯槽骨という部分にネジ込んでいます。

これによって、絶対に動かないネジからいろいろなものを引っ張たり、くくり止めたりすることができるわけです。



まとめ

さて、いかがでしたでしょうか!?

とても長い記事になってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。

インビザラインの登場により確かに矯正治療へのハードルが下がり、今までより沢山のひとが矯正治療を視野にいれることができました。これは非常に素晴らしい事だと思います。

欧米先進国に比べ、歯科への関心が低い日本。テレビに映る政治家やお偉いさんも歯並びはガタガタで口が汚いことが多いですね。

インビザラインによって、より多くの人が自分のお口に関心を抱き、それを改善しようと能動的になるのは本当によいことです。

ただし、「お手軽で簡単に始められる」矯正だと勘違いしてはいけません。マウスピースタイプだろうが矯正は矯正。多くのリスクや問題点、システムの特徴などネガティブな部分まで理解した上でインビザラインと付き合うのがよいのではないでしょうか?

この記事がその一助になれば幸いです😊

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